モヤモヤはワクワクになる〜中国で見た製造の現場とスタートアップでの仕事〜

Regnioでバックオフィス業務を担当しています安部美穂です。Regnioは「産業の再点火」をビジョンとして製造業のDXに「人」と「業務」の両面から取り組んでいます。

私の仕事は開発や、お客様に直接関わるものではありませんが、現場に入り込んで産業を変革していくRegnioに関わり続けたいという思いがあるのは、私のわずかながらな製造の現場での経験が関係しているかもしれません。

必死に通訳しながら工場をまわる

私は新卒で関西にある継手の問屋(プラントや建設業で使う資材の総合商社)に入社し、中国留学の経験を活かして中国からの輸入業務を担当していました。

フランジというパイプとパイプを繋ぐための商品を自社ブランドとして輸入していたので、入管業務や品質管理に関して直接工場とやりとりをするのが私の仕事でした。

2か月に1回のペースで、社長やベテラン技術者とともに中国各地の工場をまわり、通訳として品質指導をしたり、新しい工場の開拓を行いました。

一人ひとりの旋盤加工技師にこれはいいよ、これはだめだよと声をかけて、不良品の発生しやすい環境を無くすための指導をしたり、良質な材料が使われているかのチェックをしたりしてまわりました。

現地の工場長や社長とは、価格の交渉をしたり、業界の情報共有をしあったりしました。夜は白酒を酌み交わして、現地の人と仲良くなり、信頼関係を築く、そんな日々でした。

コンテナを見上げる喜び

北は大連から南は杭州まで、高鉄と呼ばれる中国版新幹線などを駆使して様々な都市の工場をめぐり、専門用語や業者特有の言い回しを覚えながら、時には不良品の指摘のために厳しいニュアンスを伝えなければならないこともありました。

地方の工場では方言が激しくて全く違う言語のように聞こえることもありましたし、側溝みたいなトイレしかなかったり、大量にお酒を飲まされたり、工場長が失踪して連絡が取れなくなったり、想像を超える出来事も多々ありました。

それでも、帰国後にコンテナに積まれて海を渡り納品された商品を見た時には何とも言えない充実感がありました。

現地で指導した技師や検査員が手がけた品物が船積みされ、その情報が通関書類で確認でき、数日後の早朝に会社の倉庫の前にコンテナが着きます。その日には早く出社してコンテナ番号が書類と合致することを確かめることが楽しみでした。

感じていたモヤモヤ

一方で、仕事のやり方についていろんな疑問も感じていました。製品の価格をぎりぎりまでたたき、現地の工場では過酷な環境と労働条件で作業員を働かせていること。業界内での敵対関係や意図的に遮断される情報の流れがあること。在庫管理の複雑さや煩雑さによって生産性が下がっていること。

新卒でまだ何もわからないなりに、変えるべきことがあることは強く感じていました。でもそんなモヤモヤを晴らすための行動は道半ばなまま、私は家族の事情で福岡にUターンし、転職しました。

スタートアップという場所からモヤモヤを晴らす

今Regnioに関わっているのは、Regnioでの「産業の再点火」という取り組みは、以前感じていたモヤモヤを直接でなくても少しずつ晴らしていくことに繋がると思えるからです。

DXによって業界構造や業界の常識が変革され、働きやすく幸せになる人が増える、その大きな流れのごく一部にでも関わることができていると思うと、かつて抱えていたモヤモヤはワクワクに変わりました。

転職する前はスタートアップという存在すら知りませんでしたが、現在では、業界の中からではなく外からだからこそ起こせる変化があること、スタートアップならではの新しいことを実現させるスピードの速さを身をもって知りました。

私の経験はフランジ工場でしたが、Regnioでは現在、食品工場を持つお客様と一緒に需要予測と在庫把握を行う生産計画サービスを開発しています。

AIを用いた高精度な需要予測、IoTカメラを用いたリアルタイムな在庫状況の確認、それらを結びつけた最適な生産計画の立案を実現するものです。

このサービスを「Regnio Factory」というSaaSとして中小・中堅製造業に展開していこうとしています。機会ロスや在庫ロスという全国の製造業の方々が抱えるモヤモヤを解決できるとしたら、とてもワクワクしませんか？

私は目の前の小さなタスクをこなすときも、このワクワクを忘れずに仕事を続けたいと思います。Regnioにはいろんな経験を持って集まり、一緒にワクワクしているメンバーがいます。彼らの経験をつづった他の読み物もぜひご覧ください。