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第三者割当増資を実施しました

#column
2021/02/02

中野 雅俊

第三者割当増資を実施しました!と言っても、よくニュースで目にする「〜億円調達しました」的なものではありません。今回実施したのは社員に対する第三者割当です。似たような話として、社員にストックオプションを発行する事がありますが、今回は生株の割当です。つまり、「株を買う権利を付与」したのではなく、「身銭を切って現物を購入」してもらったという事です。購入できる株の比率や価格は、会社としての今後の資本政策に影響を与えない範囲で、最大限良い条件を設定しました。なぜか?順を追って説明します。

経済的恩恵の最大化

一般に、創業者は会社を成長させて、自身が保有している株式をIPOで市場に売却するなり相対で会社に売却するなりすれば(いわゆるEXIT)を迎えれば、そのリスクに見合った大きなリターンを享受できます。会社経営をする事がリスクかどうかと言えば全くそうでは無いと思いますが、少なくともその大変さに見合うリターンがあるのは当然だと言えます。では、社員はどうか?前の記事でも書いたように、Regnioは株式会社クアンドからスピンアウトして創った会社で、今いるRegnio社員は全員が創業メンバーです。立場や役職は違えど皆が同じように創業の苦労、難しさ、楽しさを味わっています。取締役だけで株を持つ事は可能でしたが、皆が同じ志を持ち同じ船に乗って進んで行った先に、船長だけが宝を持ってウハウハしている、そんな構図は違うなと思いました。スタート地点が同じ仲間であるからこそ、平等にと言わないまでも、同じように未来の成功の恩恵を享受するチャンスを持って欲しいと思ったのがまず1番の動機です。

創業時に合宿で第三者割当についての説明を行う

金融、経済リテラシー向上のきっかけに

弊社の社員はほとんどがエンジニアかデザイナーのクリエティブ系人材で、ずっと技術や創作に向き合って来た人達です。その為か、ちゃんと金融や経済について関心や興味を持っていた人はほぼ皆無でした。私もずっと技術畑でキャリアを積んできた身として、技術だけを見ていれば最低限の生活はできるしそれで事足りてしまうというのは分かります。しかし、人生で様々な重要な決断を下す時(家を買う時、車を買う時、金融商品を進められた時等)は金融と経済の知識は切っても切れません。それらが無いが為に最良な選択ができなかったり、酷ければ騙されたりする可能性があります。それに加え、昨今叫ばれているDXの推進の為には、事業を取り巻く金融や経済の情報を把握し世の中の流れを読む力はエンジニアやデザイナーにも必要だと思います。何より、金融と経済は知れば知るほど面白い。政権の経済政策や中央銀行の金融政策の動向、企業の成長戦略や資本政策等、技術や創作に向き合うのと同じくらい知的好奇心が満たされます。私は、社会人一年目で始めた株式投資がきっかけで日経新聞を読んだりニュースを見たりするようになりました。今回、他社の公開株ではなく、創業メンバーとして自社の株を持つ事で少しでもそういった金融や経済についての興味関心を持ってもらう機会になればと思ったのも大きな動機です。

以上が社員に対する第三者割当の動機です。上記で記した事が実際に達成されるかどうかは全て今後の会社の成長次第です。ここに書いた想いが空想で終わらないように頑張っていきたいと思います。