中野 雅俊
2021年も残すところあとわずかとなりました。皆さんは今年どんな一年だったでしょうか。Regnioは、年の終わりとともに創業1周年を迎えました。
最初の記事でもご紹介したように、私は幼なじみと4年超、共同経営してきた会社を退任し、Regnioの創業に至りました。これまでの1年を、代表的な経営資源である「人、モノ、金」の3つの観点で振り返ってみたいと思います。
現在、弊社では役員2名、正社員7名、業務委託5人の計14名で活動しています。ほとんどのメンバーが、前述の共同経営していた会社から移籍する形でチームが構成されています。
お互い知っている間柄とはいえ、新たなチーム、新たな環境、新たな文化でのスタートであり、何も問題無くここまで来たわけではありません。
考え方や価値観の違い、距離の取り方の違いから、組織上の様々な課題が持ち上がってきました。ただ、経験や年齢の違う人達が集まって組織が構成されているかぎりは、そのような事は避けて通れないし、各人が最高のパフォーマンスを生む組織を作るためには、むしろ健全なことではないかと思っています。
そのような考えをもとに一つ一つ課題をクリアしていくと、ありがたいことに、創業から現在まで誰一人辞めることなく一期終えることができました。
組織における来年の新たな挑戦は採用です。組織の安定を重視し、この1年は採用活動を行ってきませんでしたが、来年以降の事業拡大に向け、いよいよ採用をスタートします。弊社の「中小製造業をデジタル技術で変革していく」というビジョンを求職者の方々にしっかりと伝え、採用に繋げたいと思います。
1社目の経営含め、これまで受託開発事業や共同開発事業を主として営んできました。それらに加え、今年はこの記事でも紹介しているように、自社プロダクトの開発を開始しました。このプロダクトは、それまでの事業活動を通じて知ったお客様の経営課題が「業界共通の課題ではないのか」という仮説からスタートしています。
食品製造業界、特に日配食品製造業における在庫ロスの課題を解決するため、AI技術による生産計画の自動立案を行うプロダクトです。
最初の段階では仮説というとより、私の思い込みの可能性があるかもしれないと思っていましたが、様々な製造業のお客様にヒアリングさせていただくにつれ、同じような課題を抱えている企業が多くあることがわかり、思い込みから明確な確信に変化していきました。
印象的だったのが、現在プロダクト自体やその情報をほとんどリリースしていないにも関わらず、この課題に苦しんでいるお客様自らが弊社の情報を探し当て、お問い合わせいただいたことです。
それだけ課題が深く、解決が望まれているということでもあり、2022年春予定のプロダクト正式リリースに向け、身の引き締まる思いで開発を進めています。
こちらの記事でも述べているように、「仮説立案」→「仮説検証」→「仮説確定」のサイクルを回し、プロダクト開発を通じて自分達の想いを具現化していく作業はとてもワクワクします。来年はこのプロダクトを通じて様々なお客様の課題を解決し、更なる事業の拡大にも繋げていきたいと思います。
現在、弊社はエクイティファイナンスもデッドファイナンスも行わずに事業運営を行っています。前述のプロダクトについては、生み出した利益を再投資して開発を進めています。
最近ではスタートアップと言えば、まずは資金調達という風潮がありますが、そんな中で、資金調達せずに得た事業収益を次の事業拡大に回すことができるのは、仕事を任せていただいているお客様、及び、事業を共に前に進めてくれる従業員あってのことだと思います。
来年は、プロダクト展開を軸に事業を拡大していき、「この部分にこれだけ資金を投下すればこれだけの収益が上がる」という定量的な確信と、「それらの投資は自前の収益や資本で賄えない」という判断が合わさった段階で、資金調達の検討を進められればと考えています。
仮に今すぐに資金調達したとしても、その効果的な使途は描けません。現状の限られた資本を、いかに大きな売上と利益に繋げていくことができるかという観点を大事にして、事業を前に進めていきたいと思います。
以上、「人、モノ、金」の観点で2021年、1期目のRegnioを振り返りました。来年はこれら「人、モノ、金」全てにおいて、様々な決断が必要となる年になりそうです。ワクワクすると同時に、経営者としてもう一段の成長が必要であると感じており、身の引き締まる思いでいます。
繰り返しにはなりますが、こういった挑戦ができるのは、お客様と従業員、及びいつも助けてくれる友人・知人のおかげでもあり、幸せなことだと感じています。Regnioに関わる全ての人にとって、来年も良い年であることを願っています。